性欲が愛する人を無意識に追い詰めていた…男性性に疑問を抱く主人公の心理を描く『一番の恋人』
そもそも一緒にいるためには、恋愛感情が介在しないといけないものなのか。周囲の価値観や常識に振り回されながらも、納得できる生き方を必死に選び取ろうとするふたりの姿は、どんな結末であれ応援せずにはいられない。
「親子関係にしろ恋愛観にしろセクシュアリティにしろ、理解のつもりで型にはめようとすると、結局その人をがんじがらめにする気がして。一番と千凪のような形もあることを、覚えておいてくれたら嬉しいなっていうくらいの気持ちでいます」
君嶋彼方『一番の恋人』愛する人に“拒絶”され、長年植え付けられてきた「男らしく生きる」という価値観が覆される一番。さまざまな当たり前を問う物語。KADOKAWA1760円
きみじま・かなた作家。1989年生まれ、東京都出身。2021年、第12回小説野性時代新人賞を受賞し、『君の顔では泣けない』でデビュー。
ほかの著作に『夜がうたた寝してる間に』。
※『anan』2024年6月26日号より。写真・土佐麻理子(君嶋さん)中島慶子(本)インタビュー、文・兵藤育子
(by anan編集部)
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