岸井ゆきの、阿部サダヲや皆川猿時は「ドラえもんみたい」 松尾スズキの傑作舞台に挑む
薬剤被害で身体障がい児に生まれたフクスケは、製薬会社の御曹司ミスミに長い間監禁されてきた。
「人と違う体で生まれて変態の手で育てられて…。当初は世の中への恨みが強いのかと思っていたら、フクスケは自身が周りと違うことに誇りを感じていて、世界に抗って生まれてきた反逆児だと言うんです。演じていて面白いんですけど、松尾さんからいろんなセリフの言い方や動きを提案されるので、とにかく今はやってみているという感じで…」
そう話しながらも楽しげな笑顔。
「松尾さんって、私に役の感情のことを言ってくださるのは、私とふたりのときなんです。でも、動きだったり振り付けのことだったりは、稽古中のみなさんが一緒のところで面白いことをおっしゃる。瞬発的にやって生まれる化学反応みたいなものを見ていて、感情のことは後でひとりで考えられるようにということなんでしょうね。考える力と瞬発力とが同時に鍛えられている感じがして面白いです。
あと、松尾さんの作品って、舞台美術の細やかさも転換の技術もすごいんです。いま稽古場に仮のセットを立てているんですが、そのセットを見て、おお~っとなりました(笑)」
フクスケを演じてきた阿部さんは今回コオロギ役で出演。