特別ではないけれどかっこいい…! 映画監督・大九明子おすすめの“女バディ”作品
その兆しは、小さいけれど、例えば、何者でもない市井の女性を主人公にした映画を撮るチャンスが巡ってきたり…といったことからも感じられる。
「私が好きな、フランスのドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』というバディものがあります。これは犯罪資料局で働く自閉症のアストリッドと、家族のことで苦悩を抱える警視のラファエルが、バディとして犯罪捜査をしていく、というドラマシリーズで、なんとシーズン4まで続くほど人気を博していて。決してスーパーウーマンではなく、ある意味では社会的な弱さを持った二人を、それぞれの人生の背景や生活をしっかり描きながら、バディ物語として描く。私自身、車椅子の母とダウン症の弟がいる女性が主人公の家族のドラマを撮ったということもあり、そういった事情を抱える登場人物の女性バディものを、当事者である俳優と一緒に作ってみたいです」
どちらかというとこれまでは、孤独な主人公を描くことが多かったという大九さん。
「だからこそ、“二人”という関係に夢や憧れがあるんです。素敵な同性のバディがいる状態って、私にとってはとても輝いて見える。なので実は作品の中に、主人公にそっと寄り添ったり、遠くから見守る、そんな立ち位置の女友達を祈るような気持ちで配置しがちでした。