川平慈英「自分は“洋”の人間だと思っていたので驚きました」 木ノ下歌舞伎出演の経緯を語る
東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)』について、川平慈英さんに話を聞きました。
僕自身も知らない僕を作り上げてくれるありがたい日々です。
「60歳になったし、ここからはスローペースでやっていこうと思っていた矢先に、心身ともに大変な舞台が次々ときて。キツいと思いながらも、今、チャレンジしている自分が楽しいんですよね」
そのチャレンジのひとつが、古典歌舞伎の本質はそのままに現代劇として描き出す木ノ下歌舞伎の『三人吉三廓初買』への参加。オファーを受け「自分は“洋”の人間だと思っていたので驚きました」と話す。
「やろうと思ったのは、以前に『薮原検校(けんぎょう)』という舞台を一緒にやった杉原邦生さんが演出だったことが大きいです。当時、無謀とも思えるほどの膨大なセリフに苦しむ僕を杉原さんが勇気づけてくれて、結果的にとても評価をいただけたことが大きな自信になったんです。僕の少し“やりすぎ”な癖って、木ノ下歌舞伎ワールドでは必要ないものだと思うんですよね。
杉原さんは、そこも把握して全部削ぎ落としてくれて、僕自身も知らない僕を作り上げてくれる。