環ROY「大人の鑑賞に堪えうる絵本を作りたいと思っている」 最新絵本でこだわった点とは
韻を踏むことで音楽的に楽しめるように作っているんです。その強度を高めることに、注力しました」
“強度を高める”とは、韻を踏む文字の数を増やすこと。
「なかでも手を入れて良くなったのが、扉のページ。もとは2文字ずつぐらいで韻を踏んでいたんですけど、やっぱり3文字ぐらいいけるかなと考えて、最後の最後で書き直しました。韻を踏んでいる文字が増えると、響きが似ている文字の量が増えるので、物理的に言葉の関係性が深まるんです」
扉の文は以下のとおり。
「とおくのそらでゆうやけこやけおうちにかえるここのゆびとまれ」
“そらで”“こやけ”“とまれ”という3文字で韻を踏んでいる。ほかにも、「こっちはシーソーたのしーそー」など、環さん曰く「単純なダジャレ」感覚で楽しめる箇所もある。とはいえ、安直な言葉遊びとは一線を画す。
「絵本は大人クオリティじゃないとダメだと思うんですよね。とくに子どもが小さい時は読み聞かせをするから、大人が読んでいて楽しくないと、こんなの読んでらんねーだろってなってしまう。逆に大人が楽しく読んでいれば、その熱意が子どもに伝わる。だから自分も、大人の鑑賞に堪えうる絵本を作りたいと思っているんです」