ブリューゲルの傑作「バベルの塔」が24年ぶりに来日!「バベルの塔」展が東京都美術館で開催
他の画家による14〜15世紀の「バベルの塔」の作例が数階建ての塔を建設する人々を描くのに対し、ブリューゲルは地平線まで見渡すパノラマを背景に、巨大な塔を画面一杯に配置。卓越した想像力によって、かつて誰も思いつかなかった壮大なスケールで描くことに成功しました。
また、米粒ほどの大きさで実に細かく描かれた人々にも注目してください。その数はおよそ1,400人と伝えられており、割れたレンガ屑の飛び散った様子や、作業員たちが休む飯場など、「実際の塔の建設に何が必要なのか」と、ブリューゲルが想像力をめぐらせて建設現場の細部を書き込んだことがわかります。その細部にもこだわる執拗な想像力と超絶技巧が、実際には存在しない塔にリアリティをもたらしています。
●どうしてブリューゲルは「バベルの塔」を描けたのか?
ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:フランス・ハイス 「アントウェルペンのシント・ヨーリス門前のスケート滑り」 1558年頃 エングレーヴィング Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
伝説の塔を前例にないかたちで描いたブリューゲルには、2つの重要な能力が備わっていると考えられています。