「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」東京国立近代美術館にて開催
こうした裸婦像や風景画の中から、くっきりした輪郭線と色に特徴付けられる戦後の作風が、次第にかたち作られていきました。
この頃に描かれた膨大な数のスケッチは、戦後の作品にも繰り返し使用され、熊谷作品の土台を成すものとなりました。
油彩以外に書や水墨画を手がけるようになったのも、この頃です。
●3章 線と色の完成(1940-1970年代)
熊谷守一 《ハルシヤ菊》 1954年 愛知県美術館 木村定三コレクション
熊谷守一 《雨滴》 1961年 愛知県美術館 木村定三コレクション
戦中から戦後にかけ、くっきりした輪郭線と色を特徴とする、もっともよく知られた画風が完成しました。
熊谷は76歳の時に体を壊し、それ以後は自宅から滅多に出ず、庭の花や虫、鳥といった身近なものを描くようになります。しかしながら実は、こうしたモチーフのいくつかは、1940年代に描かれたスケッチに登場しています。そのことからも、長期にわたってねばり強く関心を持ち続ける熊谷の制作の特徴がうかがえます。
【展覧会概要】
名称:「没後40年熊谷守一生きるよろこび」
会期:2017年12月1日(金)~2018年3月21日(水・祝)