「おにぎり君」と呼ばれた男、8年半の自転車地球一周の旅を語る
ときには野犬に襲われそうになったり、テント泊中、心無い人にテントをひっくり返されたりもした。
インドネシアではタクシーと正面衝突して前歯を2本折ったり、インドではバイクに跳ね逃げされた。
また中国やインドでは荷物を盗まれたり、イランでは優しく話しかけられメロンをくれたと思ったら顔面パンチされ、貴重品を持っていかれた。
泣きっ面に蜂、翌日にはタクシーに跳ね逃げされ、病院行きになったという。
ヨーロッパでは、−20℃の銀世界で凍る自転車をどうにかこうにか動かして突き進んだ。
【ヨーロッパのウクライナ西部にて】
(Photo by PEDALIAN.COM)
そんな思いまでしてなぜ旅を続けるのだろう?
そんな風に思う人もいるかもしれない。
けれど、彼は情熱を持って夢に向かって突き進んだ。ひたすらペダルを漕ぎ続けた。
旅をやめる気はしなかったと言う。
旅は楽しいだけではない。
楽しくて美しいだけなら、精神の成熟は成し得ない。
旅が人を大きくさせるのは、旅が完全な自由の中にあり、計画通りにいかないことにあり、そして人の助けなしでは続けられないからではないだろうか。