ハゲた殿方に「ハゲ!」と伝えて差し上げるのも愛なのです。|【連載3】ドSクリエイター菅原の「To the loveless.(愛を失くした人たちへ)」
発言が優しさゆえのものなのか、あるいは単に思ったことを口に出す性格ゆえか、わたくしには分かりません(後者である気はしますが)。A氏の意図はどうあれ、その一言はN君を何かから開放し、今日も彼はSNS上で清々しく顔の大きさをネタにしています。
本人の名誉のために書きますが、N君は決して“罵られて喜ぶ”タイプではありません(たぶん)。人並み外れて繊細な彼にとって、周囲の気遣いこそが小さな痛みの種だったのでしょう。小さい痛みでも、日常的に痛みを感じる生活は楽ではない。その痛みから、そして痛みを我慢し続ける自分自身からもN君を開放したのが、A氏の「顔でかいな!」発言でした。
善人ヅラした悪意のフレーズ「そんなことないですよ」
言葉で生計を立てているわたくしは、いくつかの言葉を“死んでも使うまい”と心に決めています。その1つが「そんなことないですよ」。
憎んでいると言ってもよく、このフレーズを多用する人間のことも大概は嫌いです。「嘘つき!」「偽善者!」と思ってしまうのです。
何故わたくしが「そんなことないですよ」を憎むのか。それはこのフレーズには愛がないからです。