ハゲた殿方に「ハゲ!」と伝えて差し上げるのも愛なのです。|【連載3】ドSクリエイター菅原の「To the loveless.(愛を失くした人たちへ)」
殿方は、基本的にいくつになっても中学2年生。彼らは、褒めて欲しい時に自ら自分をけなすような回りくどいことは滅多にしません(褒めて欲しい時、彼らは分かりやすく“自慢”するので)。仕事の上での失敗など、クリティカルではない話題に関しては「大丈夫だよ」とか「そんなことないよ」等の軽い否定を求めていることも多いですが、こと身体的な特徴に関するコンプレックスについては、否定ではなく肯定して欲しい時にしかまず口に出しません。
ですから、例えば頭髪薄めの殿方が「僕ってハゲてるからさ」とか「最近薄くなってきちゃって」等と言いだしたとき、その事実を否定する気遣いは必要ありません。「そんなに薄くないですよ」「えっ!そうですか?」「全然気づかなかったです!」等。優しさや気遣いでできているはずのその言葉は、刃となって殿方のハート(と頭皮)に突き刺さります。残り少ない貴重な頭髪の100本や200本は消し去ることのできる威力をもって。
断言します。
ハゲた殿方に対する「そんなに薄くないですよ」等の無意味な慰めほど愛のない残酷な行為をわたくしは知りません。言われた人をチクリと傷つけ、場の空気を凍らせ、毛根に回復し得ないダメージを与えるのです。