「私は“即興の魔力”に取り憑かれた」。社会的弱者が分断された日本を音楽で変える「即興楽団UDje( )」を率いるナカガワ エリ【前編】
でもその中から生まれてくるこの湧き上がるような、燃え上がるような楽しさって一人でやってたら体験できない。そこにはやっぱり人が必要で、いらないと思ってた人がこんなにも喜びを与えてくれることに気づいたんです。今でも人とするのが面倒くさいと思っているのに、それでも人と何かをやろうとしているのは、やっぱり即興音楽のステージを通して高揚感とか楽しさを味わってしまったからでしょうね。即興の魔力に取り憑かれてしまったと言えますね。現代美術、アフリカの太鼓と音楽、障害を持つ弟、複雑な家庭環境。一般的に考えられる福祉の道とは全く違う道を通って福祉の現場に携わるようになったエリさん。うじゃは、肩にたくさんの荷を抱え、暗闇でもがく一人の女性、エリさん自身を救うことから始まった。
(参加型ステージ_ウエディングゲリラピクニック/大阪Photo byオグラハルカ)
弱者のために、そんな活動をできることに尊敬の念を伝えると、だって私も弱者だものと笑う彼女。
障害者を支援するって気はあまりなくて、自分救済だと思ってきた。人って、自分が満たされると、他人にも目がいくもんなんだね。と続ける。そして困難な環境を即興音楽という発想で抜け出したエリさんの見えている世界には、そもそも弱者だとか障害者とか健常者だとか、そういうことは大きな問題ではないのかもしれない。