読書は、家もお金もない過酷な生活を少しだけ生きやすくしてくれる。ポートランドの「チャリンコ図書館」が届ける心の支え
ホームレスの多くは、住所がなかったり、IDを盗まれ紛失していたりして、登録すらできないのだ。また、館内で本を読むにしても、やはり人の目が気になり、足遠くなってしまうという。そんな通常の図書館よりも、ぐっと身近に本と触れ合えるのが「ストリート・ブックス」なのだ。
自転車で図書を運ぶ「ストリート・ブックス」
(Photo by Jodi Darby)
ローラ・モールトン(Laura Moulton)さんが、非営利団体「ストリート・ブックス」を創立したのは、2011年の6月。当初は、3ヶ月だけのサマー・アート・プロジェクトとして開始したが、反響の大きさに励まされ、今年で7年目を迎える。毎年6月から10月頃までは、週に5日、50冊ほどの本を積み込んだ2台の自転車で、ホームレスコミュニティや食事を提供する施設を日替わりで巡回する。昔ながらの図書カードにサインすれば、誰でも無料でこの移動式図書館を利用できる。今期からは、夏以外の時期にも外での活動を開始。
月に一度、橋のたもとや広場で、本を無料配布している。今回、ポートランドのダウンタウン地区にあるホーソン橋のたもとで行われたイベントを訪ねた。
みんな、本を読みたい
今冬のポートランドは、例年になく悪天候で道路が閉鎖される日々が続き、なかなか決行できなかったストリート・ブックスのイベント。