犯罪、孤食、肥満を減少。いいことばかりの「正義の畑」を営むポートランドのコミュニティ。
アメリカでは、肥満が社会問題となり、国を挙げて「健康的な食生活」が推奨されている。ところが経済的に貧しい都会の人々は、割高な有機野菜やホールグレインといった食材には未だ縁遠く、健康な食生活へシフトしようという潮流から取り残されているのが現状だ。 そんな食の格差や、さらには地域の貧困や犯罪までを「オーガニックな畑」を軸に解決する団体「ビレッジ・ガーデンズ」をポートランドで見つけた。彼らの取り組みから、「食の格差の拡大」「孤食の増加」「食生活の乱れ」などの日本の食にまつわる問題を解決するためのヒントをもらえたような気がした。
警察への通報も減少。コミュニティを育てた野菜畑

Photo by Rika Higashi
オレゴン州ポートランドは、全米でもグルメタウンとして知られる地産地消ムーブメントの中心地だ。また「全米一住みたい街」に選ばれるほど人気の街でもある。ところが、世界各地から人々が移住してくることで地価や物価が上がり、昔からこの地域に住んでいた人々が、これまでの暮らしを続けられないという弊害も生まれている。
いわゆる「ジェントリフィケーション」という現象だ。ポートランドの北部は昔から有色人種の労働者の多い地域だが、彼らは白人富裕層の流入により、市外や市が住宅行政の一環として建設した家賃の安い「アフォーダブル住宅」