10店目:「伝統だからではなく、幸せになるから」。“超絶おいしい鯨肉”が食べられる根津の秘密基地、ひみつくじら| フーディーなBi編集部オススメ『TOKYO GOOD FOOD』
=源流や起源、生産プロセスを発見できる⑤アジト…大量生産品やまがいものばかりの世の中をギャフンと言わせるための秘密の企みの場
ーお店ができた経緯を教えてもらえますか?5歳で鯨ベーコンを食べて感動して、捕鯨と鯨を食べる文化を守りたいという夢をもって東京水産大学に入って、念願がかなって鯨の業界に足を踏み入れたんですが、いろいろと裏というか現実を知ってしまいまして(笑)一番ショックだったのは、一般的に流通する鯨の殆どが、発色剤や増量剤を用いた合成肉のような物になってしまっていた事です。これが全くおいしくない。これじゃあ鯨を流行らせるなんて夢のまた夢だなぁ、と落ち込んでしまった時期がありました。そんな折に、知人の勧めで、通常東京では全く流通していない、房総の沿岸捕鯨で捕るツチ鯨の刺身を食べたのですが、これが逆にとんでもなくおいしい。実は、房総に限らず、沿岸捕鯨で獲る鯨って業界では下に見られる傾向があり、ご多分に漏れず私も口に入れる瞬間まで「ツ、ツチ鯨か…」みたいな印象があったのですが、食べてみるとそのあまりの衝撃(美味しさ)に「自分が今まで扱っていた鯨はいったい何だったんだ」と膝から崩れ落ちてしまいました。