くらし情報『#006 女子生徒の地毛の黒染めを強要し裁判沙汰になった事件と実体験を照らしてわかった「校則の無意味さ」。| 橋本 紅子の「常識」と「パンク」の狭間で、自由を生み出すヒント。』

#006 女子生徒の地毛の黒染めを強要し裁判沙汰になった事件と実体験を照らしてわかった「校則の無意味さ」。| 橋本 紅子の「常識」と「パンク」の狭間で、自由を生み出すヒント。

私はその日に志望校を決めた。その高校には校則がない。制服もないので、どんな格好で登校してもいいし、髪色だって自由だ。法にさえ触れなければ、どんな自分でいることも許された。合格条件は満たしていたので、他を受けることもなくそのまま入学した。幼稚園から大学まである学校だったので、中学やそれ以前から通っている生徒のことを「内部生」、高校から入った生徒のことを「外部生」と呼んでいた。私を含め外部生の多くは、入学当初あまりの自由さに感動すると同時に戸惑った。これまで髪色も服装も統一させられてきたのに、突然「好きにしていいよ」なんて言われたもんだから、ずっとやりたかった茶髪、エクステ、ピアス、ネイル、なんでもやった。
みんながみんなではないが、校則の厳しい学校から入学して来た生徒ほど入学当初は派手な格好をしていたように思う。面白かったのは、それまでもずっと校則ゼロの中で過ごして来た内部生の服装や髪色は、外部生よりずっと落ち着いていたことだった。1年生の頃はそうやって、「やってみたかったことリスト」を1つずつクリアするみたいに自由を謳歌していた私も、卒業する頃になると受験も終えているのにすっかり黒髪に落ち着いていた。

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