「苦しいなら逃げてもいい」。20代の臨床心理士が、我慢を美しいと考える日本人に伝えたいこと
筆者がKANAと話すなかで最も印象に残ったのが、そんな「変化」に対する彼女の見方だった。
変化って側からみるとすごく大きいものに見える。たとえば親友のAちゃんがあのときから急に変わっちゃったとかってあるじゃないですか。でも実際にAちゃんは何も考えてなかったり、日々生きているなかでちょっとずつ変化してきただけかもしれない。Aちゃん本人にその自覚はなかったりもする。他人から見たら大きくても「変化」って実は小さいもので、毎日のすごく地味な積み重ねなんです。でもなぜか人って大きな変化を求めがちで、「こういう悪いところを大きく変えなきゃ」と思ってしまう。だけどちっちゃい行動を意識するだけいいし、その場で足踏みしてるだけでもいい。
足踏みだけでも筋肉がついてくるし、いつかのタイミングで前に進めるかもしれないしって思いますね
「隣の芝生は青い」ということわざがあるように、他者がよく見えてしまうことはいつの世にもあるけれども、それは人の内面が他者からは見えないゆえに感じるのかもしれない。したがって、自分より優れているように見える他者を“基準”にして焦るのではなく、まずは彼女が強調していたように、自分自身の選択したことや感じていることを「肯定する」のが大切ではないだろうか。それが自分の生きやすい環境を見つけることにつながってくる。
KANA