「ソーシャルメディアに誘拐された」と話すアーティストが考える、“現実世界とSNS上に生きる二人の私”
ソーシャルメディア自体は、私がメンタルヘルスの問題を抱えている主な理由じゃない。メンタルヘルスの問題があるから、何日か投稿していないと不安になってしまうことがあるけれど。一日中寝てしまったときのような、自分は何もしていないという感覚がすごく嫌いなんだ。私はもうソーシャルメディアに「誘拐」されたような気分でいる。
「もしソーシャルメディア上で死んで、現実世界だけで生きることになったら?」「もし自分は死んでいるのに、誰かが代わりにアカウントを使い続けてソーシャルメディア上で生き続けていたら?」
ソーシャルメディアの時代に生きる人々の“二面性”について話していたとき、彼女は自分自身にそう問いかけることがあると言っていた。それぞれの面が交差することがあるのはいうまでもなく、たとえばネットの次元で起こったいじめにより現実世界でも生きづらくなってしまう学校や職場でのネットいじめや、有名人がネットの次元で叩かれてアカウントが炎上することでメディアに出づらくなってしまうようなことがその例だ。複雑に絡み合うそんな二つの面から生じるリスクについて理解しておくことは、この時代にソーシャルメディアを利用することを選んだ人にとって重要なのであろう。