『eatrip』野村友里監督インタビュー “食”で体感、生きるためのスパイス
「食を通して様々な方々に出会い、体感し、感じていくうちに、変わらないものというのがフツフツとあるなと思うようになりました。そういうものを記録にひとつ残すということは、何か自分自身にも助けというか、気づきになるし、恐らく何人かは、観たことで何かを感じ得る人も居てくれるのではないかと思いました」。そう映画を作るに至った思いを明かす。
小さなテントという、必要最小限の布きれ1枚で作れるごくシンプルな空間の中で、親子家族、様々な関係の人々が寄り添い、語り合い、食事を楽しむ。劇中、その空気感から食べることの幸せが自然と伝わってくる。野村さん自身、そうした中で語られた各人の言葉に強く刺激されたという。
「青柳(拓次/本作の音楽も担当)さんの奥さんの民さんが『どうせ食べるんだったらポキって音がするくらいの新鮮な野菜と、最後はやっぱり家族と穀物が食べたい』と言っていたのは印象に残りました。浅野さんのお母さまが、浅野さんが自分の好きなものを食べる、ということについて『まあ私のご飯で育ったんだから当然よね』とおっしゃった言葉も、すごく内から出てきた言葉だなと思いましたし、UAさんの『UAらしく、全てが体内に入ってそれが表現の源になる』っていう考え方もそう。