少女から大人の世界へ。映画人が「17歳」を愛するワケ、いま注目したい「17歳」
現代アメリカ社会とは隔絶された山村で、心を病んだ母親と幼い弟妹の世話をしながら、その日暮らしの生活を送っています。ドラッグ・ディーラーの父親は警察に逮捕され、さらに自宅と土地を保釈金の担保にしたまま行方不明に。翌週に行われる裁判に父親が出頭しなければ、家も土地も没収されてしまうという危機にも瀕しているのです。両親が当てにならないために、すべてを背負う17歳。自分だって他の17歳同様に、学び、遊び、恋愛だってしたいはず。でも、家族を守ることができるのは自分だけ。そこでリーは、アメリカにいる多くの17歳が享受するすべてを捨てて、非情な掟が存在する大人社会へと足を踏み入れるのです。
のんびりと恵まれた環境で育つ者には、信じられないリーの日常が、本作では次々に映し出されていきます。
単に、貧しいという状況とは違い、犯罪に関わることで生き延びてきた山村が舞台なので、父親探しを始めたリーの行動は、村に存在するさまざまな闇を穿り出していくことに。関わっていく人物もとんでもない荒くれ者ばかり。彼女の捜索を邪魔しようと、妨害工作、いやがらせ、しまいにはリンチまで飛び出す始末。そんな中でも、リーは必死に家族一緒に暮らせる術を手繰り寄せていくのです。