くらし情報『少女から大人の世界へ。映画人が「17歳」を愛するワケ、いま注目したい「17歳」』

少女から大人の世界へ。映画人が「17歳」を愛するワケ、いま注目したい「17歳」

大人が直面したとしても、とても苛酷なリーの状況。17歳といえば、モヤモヤしながら大人への階段のありかを手探りで見つけ、なんとか一段一段登っていき、成長していくという感じですが、リーの場合は明らかに、崖を登らされたという感じ。いや、もしかすると崖から突き落とされたというべきか…。いずれにしても、環境が彼女に子供でいることを許さなかったということなのでしょう。

映画では、冒頭からすでにリーはすっかり大人びているのですが、物語を追うごとに17歳という年齢に大きな意味があるように感じられてきます。大人でも怯むような状況にも正面から向っていくあの無鉄砲さは、いかにも怖いもの知らずの子供らしい姿。彼女にかき回されることで、非情な掟に縛られた村が徐々に変化の兆しを見せるあたりも、17歳の無邪気さの勝利でもあるように感じます。

この作品が面白いのは、経験を積むことで大人になっていく少女を描いたお決まりの成長物語なのではなく、すっかり大人びてしまったかに見える少女の中に、17歳の無垢な心を見出せるところ。
はかりごとをせず、まっすぐに突き進んでいく無垢な心は、大人になり計算高くなると失われがち。でも、どんなにすさんだ生活をし、心の荒れた大人たちに汚されそうになっても、彼女にはまだ、若さゆえの強さがある。

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