山田孝之インタビュー 「夢はない。でも、芝居は楽しくて仕方ない」
取材中、何度も「面白くて」、「楽しくて」という言葉を口にしていた山田さん。彼が心底、面白がり楽しむことが、ハマり役となる決め手なのかもしれない。そして「芝居が楽しい」と実感した瞬間は、いまから約11年前に突然訪れたと昔の記憶を呼びおこす。
「17歳のとき、NHKの朝ドラ(「ちゅらさん」)をやっていたときですね。NHKの廊下を西口に向かって歩いていて、ふと、ああ…芝居って楽しいかもって思ったんです。その日の撮影がどうだったとか、何かやり甲斐を感じた出来事があったのか、それとも『クソッやってやる!』と思ったのか、どういう状況だったのかは分からないけれど、芝居自体を楽しいと思ったのはそのときからですね」。
「この役を山田孝之にやらせたら…って、すごく幸せな言葉」
こうも言う。「自分自身は何も求めていない。
待っているわけでもない。ただ、何でもやりたいんですよね」と。繊細な役、ハードな役、エキセントリックな役、どんな役にでも染まり、次々とイメージを覆しては観客の期待をいい意味で裏切ってきた山田さんは、そのイメージという言葉ですらも「色々な作品に出させてもらっているけれど、僕のすべての出演作をすべての人が観るわけじゃない。