西島秀俊×森山未來 『セイジ』で共演、役柄へとたどり着く深遠なる旅路
演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。
もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。
「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。