2012年7月13日 19:52
『ヘルタースケルター』蜷川実花監督 次に目指すは女子向け『クローズZERO』?
人前に立って消費される者にとっては、ドキュメンタリーを観ている感覚すらあったようです」。
とは言え、りりこが立っているのはまさに業界の頂点。美に翻弄される者としての普遍的な共感を呼ぶ反面、彼女にはトップスターの自負があり、“共感”などという生ぬるい感情を蹴散らす気迫すらある。
「業種は違いますけど、矢面に立って最前線でやっているのは私自身も同じ。主演のエリカがあれだけの歓声と罵声を浴びながら何年も女優を続けていることに対し、共感できる思いを抱いたのも大きかったです。エリカの方がもちろん圧倒的に認知度は高いですけど、真ん中に立っている孤独さみたいなものは言葉にしなくても分かり合えるところがありました。だからこそ、そうある人間としての覚悟もきちんと描きたかったんです」。
スターとして生きるりりこ、彼女に振り回される女性マネージャー、彼女の地位を脅かす新進モデル…。
交錯する人間模様を彩るのは、蜷川監督ならではの色づかいが視覚と脳を刺激するビジュアル世界だ。「ビジュアルが美しいのはマストだと思っていました。とは言え、前作の『さくらん』もそうだったんですけど、美術的なことは得意で自信がある分、意外と後回しにする傾向にありました。