玄里meets監督・深川栄洋 『ガール』で再び発掘した、新しい引き出し
監督をやってみて思うのは、監督は仕事じゃなくて“状態”だと。監督の“状態”にいるときには楽しいことなんて1個もなくて、一番僕が楽しいと思うのは映画館で映画を観ているときなんです。監督の状態の9割5分は苦しみを耐える我慢。あと5%くらいは響き合えていい芝居撮れたな、ここは絶妙だなと奇跡的な瞬間に幸せを感じるんですけど、それ以外は我慢の連続。すごく孤独だし、それを打ち明ける人もいないし、現場はチームワークで作っていきますが、そのチームワークの頂点にいなきゃいけないときもあれば、いま現場ではこういう流れになってるけど本当に大事なのはこれなんだよね、でも言うのは止めておこう、とかひとりで考えたり…。もう一回人生をやり直すならこの仕事は選びたくないと思いますね(笑)。
玄里:それでも深川監督が監督を続けている原動力は何ですか?
深川:人に期待されるとそれを返してしまうというか、こういう映画が観たいと思われるうちはやってたいと思っていて。いまはたぶん、お客さんが求めているものと割と近い価値観をもっていると思うんですけど、それは生ものであって、これまでいろんな監督が時代に合った瞬間があったと思うんですけど、それも一瞬。