【美的アジア】韓国の大重鎮イ・スンジェ氏に訊く。「先生、本当の愛ってなんですか?」
「原作漫画は読んでなかったんですが、シナリオをもらったときにちょうど舞台公演中だったので観に行ったんです。 舞台よりむしろ映画向きの話で、映画の方がより多くのことを描き出すことができると確信しました。笑いあり、涙ありの力にあふれるシナリオを読んだ段階で、とても満足しました。ハードなバイオレンス作品が多い韓国映画界で、久々に人情に訴える温かい映画ができそうだと思いましたね」。
イ・スンジェ氏が演じたマンソクは、典型的な韓国の頑固親父だが、イップンを不器用に構う姿や、喜ぶ姿はまるで恋を始めたばかりの少年のよう。とっても“かわいいおじいちゃん”ですよね?
「マンソクは、いままで私が作り出したことのない新しいキャラクターではあったけど、とても共感できてなじみやすい役でした。しかしながら、韓国の映画やドラマではあまり描かれたことのない“恋する老人”の役だから、どう表現すべきかは悩みました。無愛想で口がキツく、自分の気持ちなんか素直に表現したこともないけど、心は誰よりも温かい典型的な韓国のおっさんが、年を取って独りになって、再び恋したときの感情は一体どんなものかを理解しようと努力しました。
不器用だが情が厚いという点や、繊細さも気のきいたことの一つも言えない無愛想で大きなガキ大将のようでいて、人間くさい情があるあたり、マンソクの内面は私と似ていると思いましたね(笑)」。