【シネマモード】『アデル、ブルーは熱い色』…カンヌを魅了した新鋭アデル・エグザルコプロス
「監督は役者が大好きなの。役者を技術で拘束しない人で、床にテープを貼ってここから動くなと言うような指示が一切ない。技術スタッフの方が私たちに合わせてくれるの。人工的なものが嫌いなので、ヘアメイクも一切なし。あなたの感情を出してください、それだけ。このキャラクターのためにあなた自身を投げ出す覚悟があるか、そう問われていると感じるわ。ちょっとどうかなというテイクを、“まあいいか”とそのままにすることがないの。女優が特別なものを出したときにだけOKが出る。
だから、1シーンに1週間かかることも。アデルが初恋の相手エマと最初に出会うシーンでは、1日に100テイクほど撮ったわ」。
誰もが印象深く残るアデルとレアの初めてキスするシーンについては「1週間かけてようやくOKが出たのよ。ほかの監督では考えられない。1日で4~7シーンを撮るのが普通のリズムね。彼のやり方は、俳優たちがコントロールできなくなるような、自己忘我のようなところを求めるの。100%出し切っていないときは絶対にOKを出さない。俳優たちが、これはいいテイクだったと思っても、監督がOKを出すのは、それから100テイク後(笑)。
五か月半の撮影期間、1テイクで済んだところは、1シーンだけ。