【シネマVOYAGE】音楽を片手にN.Y.散策へ…『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』
ロンクは、あのボブ・ディランが憧れたミュージシャンであることからも、ルーウィン役を演じられる俳優捜しはコーエン兄弟にとって難しい旅であり、実際「困難な作業だった」と語っている。けれど、オスカー・アイザックという逸材と出会ったことで、コーエン兄弟の「まるでドキュメンタリーのように生々しい音楽映画を撮る」という夢は叶った。
映画のなかで、オスカー・アイザックがルーウィンとして歌うのは「ガスライト・カフェ」のステージ。かつてデイヴ・ヴァン・ロンクが根城にしていたコーヒーハウス「The Gaslight Cafe」と同じ名前だ。いまはもうないけれど、そのカフェが実在した頃のニューヨークのマンハッタン区ダウンタウン、グリニッジ・ヴィレッジの街並を再現しているのもこの映画の見どころのひとつ。マクドゥーガル・ストリートを歩くだけでも、きっとその雰囲気を味わえるだろう。
「The Gaslight Cafe」を訪ねることはもうできないが、預けていた荷物を取りにルーウィンがミュージシャン仲間のジーン(キャリー・マリガン)を訪ねたとき、彼女が「レジオに持っていくわ」と言って2人がお茶を飲むシーンは「The Gaslight Cafe」