【インタビュー】犬童一心監督が語る 女優・宮沢りえの“自由と迫力”
「宮沢さんが40歳になって、やっぱり違う魅力がすごく出てきてたから、それで小島麻子をやりたいというのもありました。宮沢さんは、今まで一緒に仕事をした俳優の中で、ある意味、いちばん普通の人です。ものすごいスターじゃないですか。だけど、現場にいるときには本当に普通にスタッフに接して、一緒にいる人です。それはたぶん、小さな頃から仕事をしてきて、この10年間は舞台をずっとやっていて、自信があるんじゃないのかな。キャリア30年以上の超ベテランなので。キャラクターの理解の幅が広いんですよ、すごく。こじんまりとまとめない。
漫画に対して真剣である麻子と、馬鹿なこと言って笑ってる麻子、そのどちらも当たり前としてやる。人ってそういうものなんだ、と把握しているから、堂々とそれができる。
小さくまとめて輪郭をはっきりさせていけば、分かりやすい。でも、まるで別人かのような異なる面を平気で演じていくと、逆にそのキャラクターが大きく見えてくる。それをよく分かっている人ですね。いま撮っているシーンの前後に合わせるようには演じない。前後を考えないでやっても大丈夫、とも言えるんです。自分が繋ぎとめられる自信があるのかもしれない。