2015年6月25日 20:00
【インタビュー】ジュリアン・ムーア、彼女のスピーチこそ「まさに『アリスのままで』」
が、もっとも近くで寄り添う存在となっている。
「(アリスにとって)夫は人生のパートナーだった。知的な面でも、家族生活のパートナーでもあった人。ところが結局、最後のほうではこの境遇に対処できなくなってしまう。彼のことは責められない。彼もまたどれほど苦しんでいることか、分かるから。そして、頼りにならないと思っていた娘が、結局は最後までしっかり面倒をみられる人物となる。映画は、違う見解をも提示しているの。
物事は正しい、誤っていると決めつけるものではないと言いたいのではないかしら」。
これまでも、渡辺謙主演の『明日の記憶』、韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』など、若年性アルツハイマーに関する映画は作られてきたが、あくまでもアリス目線から描かれた本作は、ひと味違う。それがもっとも顕著に表れているのが、アリスが認知症の会議で1人の“患者”としてスピーチをするシーン。やもすると、同情や涙を誘う演出になりがちだが、本作はそうではない。アリスは言語学者としての威厳とプライドを保ちながら、同時に患者としての切なる思いを込めた“ありのまま”のスピーチを披露する。
「まさに、『アリスのままで』だったわね」