2015年6月25日 20:00
【インタビュー】ジュリアン・ムーア、彼女のスピーチこそ「まさに『アリスのままで』」
彼らがどんな思いをしているのかを目にすることで、理解を広めることができると思うの」と、本作の持つ“意義”に期待を込める。
そんな本作を共に創りあげた監督の1人、故リチャード・グラッツァーとの思い出を尋ねると、「彼について話すと長くなるわ」とジュリアン。「私が一番思い出すのは、彼がいかにワンダフルな存在であったか、ってことね」と語る。
彼女が顔合わせをしたときには、すでに監督は声を失っていたという。それでも、「興味深かったのは、私が彼と会った瞬間から彼とコミュニケーションをとることに全く問題が生じなかった、ということよ。生き生きしていて、存在感があって、あふれる情熱があったから」「しっかり彼が抱く全てのアイデアを表現できたし、iPodにタイプしながらメカニカル音声で明確に伝えて、私にしょっちゅうメールしてきた。クレイジーともいうべきユーモアのセンスがあって、ちっともセンチメンタルじゃなかったわ」。
監督は撮影中、「(いまが)人生で健康状態がもっとも下降している時期であり、同時にクリエイティブの面でもっとも満足のいく時期」と、ジュリアンに明かしたことがあるという。
監督が、しだいに身体の自由を奪われていく自分自身と、記憶や認知能力を失っていく主人公アリスとを重ね合わせるように創りあげた作品だからこそ、「私がその成果の一部になれたことは、本当に素晴らしいことだった」