【インタビュー】西島秀俊、『MOZU』シリーズを通して得たもの
倉木は、奥さんと娘の魂みたいなものを追いかければ追いかけるほど、ダークサイドに近づいていきます。結局彼はどっちを選んだのか、きっとラストのあるシーンに表れているんじゃないかなと思います」。
サスペンスに満ちたストーリーはもちろん、映像作品としての『MOZU』の面白さは、観客に見せたい画が明確であり、それを目指して俳優たちが演技で暴れ回るところだ。「すごい画があるという安心感というか。どんな演技をしても、おかしなことになったりしない画の強さがあると分かっているというのはありますね。だから、フィクションの度合いをどれだけ高く設定しても無理がない。多分、吉田鋼太郎さんのせいだと思うんですけど(笑)。ドラマで「してないもん!」ってベッドから起き上がったときに『あ、いいんだ』と、みんな思ったのか。
台本をどう読んでもそんなふうに読めないような役作りを、みんなが想像力をこんなに膨らませて現場に来て。それは『MOZU』の本当に大きな魅力です。悪役がすごく輝いて、それぞれの役者さんたちが本当にほかでは見たことがないような演技をしている。現場でびっくりすることが多かったです。あれは相乗効果なんでしょうね。