【シネマカフェ的海外ドラマvol.354】Netflix「ザ・クラウン」、イギリス王室で繰り広げられる“姉妹関係”にも注目
製作総指揮を務めるほか、第1~2話の監督を務めて作品世界を導いているのはスティーヴン・ダルドリーですが、彼の映画もしくは舞台の1本分がまるまる詰まっているかのような、密度の濃いシリーズ冒頭。「愛の記憶はさえずりとともに」のフィリップ・マーティンや『キンキー・ブーツ』のジュリアン・ジャロルドらに演出のバトンが渡っても、作品世界が損なわれることはありません。
監督の1人であるジュリアン・ジャロルドは今年公開された『ロイヤル・ナイト英国王女の秘密の外出』も手掛けていますが、あちらの作品では女王になる前のエリザベス王女と妹のマーガレット王女がお忍びでロンドンの街へ。「ザ・クラウン」でも、エリザベスとマーガレットの姉妹関係が描かれます。女王の立場を真摯に受け止め、優等生であろうとするエリザベスと、自由奔放さがチャーミングなマーガレット。姉として、妹として、また女王として、女王ではない者として、2人が抱く複雑な心情は、マーガレットの“禁断の恋”を巡って浮き彫りになっていきます。さらに、エリザベスと夫フィリップの関係にも物語は切り込んでいて、妻を支える道を選びながらも空虚さを覚え始めるフィリップと、妻であると同時に女王でなくてはならないエリザベスの夫婦生活も気になるところ。