2017年8月20日 18:30
ハリー・スタイルズが見せる俳優の顔――ノーラン監督が見出した“カリスマ性”とは
爆撃や銃撃に右往左往させられることもあれば、深く暗い海に飲み込まれそうになることも。そんな中、ハリーの熱演に目を奪われずにはいられない。
起用理由を「映画俳優としての真実味があり、繊細で、何より圧倒的なカリスマ性があったから」と語るノーラン監督の言葉通り、ハリーは役柄を誠実に全うし、等身大のサバイバルを見せる。このサバイバルが綺麗事では済まされないのは必至で、生きるための力強さを発揮することもあれば、生き残るための選択に人間らしい残酷さをにじませることも。
それでもアレックスを応援したくなるのは、ノーラン監督がハリーの中に見出した「カリスマ性」も手伝ってのことだろう。と言っても、その「カリスマ性」は彼が「ワン・ダイレクション」として、ソロ・アーティストとして見せてきた圧倒的スターのものではなく、あくまで一兵士のもの。例えるなら、まだプロのミュージシャンになる前、「ワン・ダイレクション」を輩出したオーディション番組「Xファクター」参加時に放っていた「カリスマ性」のレベルに近いかもしれないが、世界的スターとなったいま、物語の世界に役として溶け込み、役柄なりの存在感を放つのは演技力なくして成立しないこと。