くらし情報『【シネマモード】花柄のワンピースと小さなうそ『サーミの血』』

2017年8月23日 21:00

【シネマモード】花柄のワンピースと小さなうそ『サーミの血』

この“コルト”が、サーミ人たちの民族衣装。とても素敵なのですが、これを着ていることでヒロインたちは周囲から冷たい目で見られてしまいます。だから出自を偽るときには、花柄のワンピースに身を包んだりして周囲に溶け込もうとするのです。そうして紛れ込んだ夏祭りで出会った少年に恋をするのですが、そのときに名前を聞かれ、思わず「クリスティーナ」と名乗ってしまいます。その様子が何とも切ない。きっとサーミ人としてのアイデンティティに背を向け、自分の未来を自分で決めるためスウェーデン人になることを選ぶ第一歩となったのは、このワンピースと、それを着てついた小さなうそ。やがてヒロインは、人として当たり前の権利を手にするために大胆な行動にでるのです。

『サーミの血』(C)2016 NORDISK FILM PRODUCTION
冒頭、歳を重ねた主人公が、初めてコルトを着て「似合う?」と目を輝かせる孫娘を、苦々しい表情で見つめます。
それは、自分が捨てたサーミ人としての人生を象徴するものだから。サーミとして生きることを捨てたとき以来、言語、歌、食とともに触れて来なかったものなのです。

装いは自己表現だといいますが、もしかすると、自分が意識しているよりもっと深いところで、ルーツと繋がっているものなのかもしれません。

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