くらし情報『宮崎駿監督、涙の追悼…「高畑勲 お別れの会」ジブリ美術館で開催』

2018年5月15日 13:30

宮崎駿監督、涙の追悼…「高畑勲 お別れの会」ジブリ美術館で開催

タイムカードを押さなければいい。

初号(試写)を見終えたとき、僕は動けなかった。感動ではなく、驚愕に叩きのめされていた。会社の圧力で、“迷いの森”のシーンは削る削らないの騒ぎになっているのは知っていた。パクさんは粘り強く会社側と交渉し、ついにカットごとの作画枚数まで約束し、必要製作日数まで約束せざるを得なくなっていた。当然のごとく、約束ははみ出し、そのたびにパクさんは始末書を書いた。一体、パクさんは何枚の始末書を書いたのだろう。僕も手いっぱいの仕事を抱えて、パクさんの苦闘に寄り添う暇はなかった。


僕は初号で初めて、“迷いの森”のヒルダのシーンを見た。何という圧倒的な表現だったろう。何という強い絵。何という優しさだったろう。パクさんはこれを表現したかったんだと初めてわかった。パクさんは仕事を成し遂げていた。公開から30年が経った西暦2000年に、パクさんの発案で、映画の関係者の集まりが行われた。当時の会社の責任者、重役たち、会社と現場の板挟みに苦しんだ中間管理職の人々、制作進行、作画スタッフ、背景や彩色の女性たち、撮影、録音、編集の各スタッフがたくさん集まってくれた。
興行は振るわなかったが、もう誰も気にしてはいなかった。

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