『ドクター・スリープ』が描き直すことに成功した 「シャイニング」の本当の意味
少なくとも、映画『シャイニング』が公開されてから39年間の映画史においては。
映画『シャイニング』への批判、その二つの理由
キングは公開当時からキューブリックの映画『シャイニング』への強い不満を公言していて、それは映画が世界中でヒットして、傑作としての評価を確立した後も変わらなかった。いや、むしろ同作が評価されればされるほど、その思いは募っていったのだろう。映画化から17年が経過した1997年、「もうこれ以上、映画『シャイニング』の批判をしないこと」を条件に、映像化権を保持していたキューブリックから許諾を得て、自身が脚本を手がけたテレビシリーズ(ABCで放送。全3エピソード、計4時間33分)の制作に乗り出した。作品の評価は上々だったものの、現在と違ってテレビシリーズは映画より下のものと見做されていた時代であり、ましてその比較対象はあのキューブリックだ。映画『シャイニング』で定着した作品のイメージを払拭するまでには至らず、その2年後にキューブリックが亡くなると、キングは再び映画『シャイニング』への批判をするようになった。
原作者が映画版への不満を漏らすこと自体は珍しいことではないが、映画『シャイニング』へのキングの長年にわたる執拗な批判には二つの大きな理由があった。