【気になる隣の男子】台湾が舞台の2作品で多彩な表情を見せるシー・チーティエン
「今関あきよし監督(『アイコ十六歳』など)とはもともと友人。この映画に参加して、違う角度から台湾の文化を見つめ直し、ありふれたことだと思っていたものが新鮮に感じられました。モトーラさんは映像の中でとても観客を引きつける力を持った人。第一印象は“眠そう”だったのですが(笑)、とても真剣に取り組んでいました」
繊細さとクレバーさを併せ持つ
『恋恋豆花』は本人役でしたが、チーティエンの演技力がよく分かる作品『悲しみより、もっと悲しい物語』も4月3日に公開を迎えます。家族を失った孤独な少年が、自分によく似た境遇の少女と運命的に出会い、人を愛するよろこびを知っていく様子を繊細に演じています。複雑な少年の気持ちをどう自分のものにしたのか尋ねると、とても明快な答えが返ってきました。
「この役の準備をする時に思い浮かんだのは、大学時代に読んだ(直木賞作家)白石一文さんの小説『一瞬の光』です。そこには、人を愛することは自分を愛することであり、自分を愛さなければ人を愛せない。
だけど、人を自分以上に愛して、初めて本当に自分を愛することができると書いてあった。その文章を思い出したとき、役柄のひな形が自然とできてきました」