【インタビュー】クリストファー・ノーラン×ジョン・デイビット・ワシントン、歴史的傑作『TENET』の誕生秘話に迫る
もう1つ考えたのは、あのクリストファー・ノーランの作品だから、ものすごいスケール感があって、ジャンルもストーリーも、撮影技術的にも、ひとひねり加えた素晴らしいものになるだろう…という前提。ただ僕としては、そういう超大作の中に、ある1人の“人間”をしっかりと据えるんだ、という意識がありました。
脚本を読んで、下調べをしていく中で、この主人公は実に人間らしい人物だと感じられたんです。人によっては、彼の行動を“落ち度”と見るかもしれないけれど、その脆弱性こそが彼の力だと解釈しました。
――なるほど、人間らしさがキーワードだったんですね。デイビット・ワシントン:他には…トレーニングが大変でした(笑)。2か月半ほど体作りに費やしましたね。
ただ、形から入ったことで、「この人はこういう男で、こういうことができる」というのが体で分かってくるようになったんです。
トレーニングの中で「なぜこの人は戦うのか?」という部分の理解が深まり、役作りに追加していきました。
あと、もう1つ。ノーラン監督は、僕をパートナーとして見てくれて、一緒にものづくりをしよう、と接してくれるんです。監督がいつも「直感を信じて、やりたいようにやったらいいから」