【インタビュー】安達祐実、「完璧を求めない」役者としての“いま”
それもあって、決め込まないようにしたんです。その都度その都度、監督から求められるものにも対応できるようにいたいですしね」
なるほど、とはいえ気になるのは、その“表出”の源だ。余白をあえて作った状態で現場に行き、臨機応変に「そこで生まれた感情」を演技として出していく。相手役との化学反応や、監督の演出によって柔軟に変化させていく秘訣とは何だろう?
「昔から、自分が実際に抱いた感情を覚えているようにしています。それを引っ張り出して演技をしていますね。たとえば『昔観たあの映画のあのシーンのあのカットの顔をしよう』と思ってやるときもたまにありますが、それはちょっとイタズラ的な感じです(笑)。あとはやっぱり、これまでの現場で共演者の皆さんが演技をされる瞬間を実際に目の前で見てきているので、それが大きいのかもしれません」
自らが抱いた感情と、他者の表情。安達さんの“インプット”は、あくまで人由来なのだ。
本作においては、第1回目の緊急事態宣言中の「人と会わず、24時間子どもと向き合うことで抱いた孤独感や、『みんなはどうしているんだろう?』という不安」が、役を演じるうえで感情の増幅につながったという。