松浦弥太郎が初監督、エッセイ集のようなドキュメンタリー『場所はいつも旅先だった』公開
また、朗読で参加したのは脚本家・演出家の小林賢太郎。主題歌にはアン・サリーによる「あたらしい朝」が使用されている。
松浦弥太郎(監督)からのコメント
「ただいま」と言うと、
「どうだった? 旅」と聞かれる。
「うん、よかったよ」と答えるけれど、
何がよかったのかを話すのはむつかしい。
家族や友に、あの日あのときあの場所のひとときを話したいけれど、
よかったこととは、目の前で起きたことではなく、
僕の心のなかで起きた、静かな安らぎや、ほんのささやかな喜び、
やわらかくしなやかな気分とか、
そして、すべてへの感謝といういのちの灯火、
心地よい風に包まれたほんとうの自由、というような。
僕の旅は、そういうなんと言ったらよいか、
予定をつくらず、ただちがった街へゆく、
何をしにでもなく、何のためでもない、
ちがった街のちがった一日のなかにいるだけのしあわせ。
忘れていたひとりの自分に出会うために歩く、
まるで「針のない時計」のような旅だと思う。
そんな旅を伝えたくて、いつものように文章や言葉ではなく、
映画という、僕にとって新しい手段で作ってみようと思いました。
あなたと一緒に歩いているかのように。