2021年11月19日 17:30
孤独が“蔓延”した時代の必見ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』、映画版の魅力に迫る
キャラクターへの深い理解と説得力を伴った彼の歌声は、映画化にも欠かせないものとなった。ベン自身、「彼と一体化し、身体的、感情的、音声的に彼を表現することができたから、エヴァンは僕にとってすごく特別な存在だったし、第二の人格のようだった」と語るほど。
さらに監督には、映画版『RENT/レント』(05)や『美女と野獣』(17)で脚本を手がけ、『ワンダー 君は太陽』(17)では監督と脚本を、『ウォールフラワー』(12)では自身の原作を基に監督、脚本、製作総指揮を担当したスティーヴン・チョボスキーが起用された。
舞台版のキャストや製作者たちは、作品によって自身や知人が助けられたという大勢のファンから手紙を受け取っていたそうだが、チョボスキーもまた、『ウォールフラワー』の原作本と映画を世に送り出した後に同様の手紙を受け取ってきたという。「15年のキャリアの中で、僕はいつも若者を理解し鼓舞する映画を作ってきた。『ウォールフラワー』での経験から、人気のあるエンターテインメントは若者に影響を与えることができると気づいたんだ」とチョボスキーは語る。
また、彼が本作に最適だったのは、思春期の孤独やメンタルヘルスだけでなく、究極の選択をしたコナーの母親シンシアや、その妹ゾーイ、義父のラリーなど、不安や絶望、喪失感に苦しむ(大人たちを含む)