くらし情報『【映画と仕事 vol.13 前編】「岸辺露伴は動かない」柘植伊佐夫 映画・ドラマに欠かせない “人物デザイン”という仕事はどのように誕生したのか?』

【映画と仕事 vol.13 前編】「岸辺露伴は動かない」柘植伊佐夫 映画・ドラマに欠かせない “人物デザイン”という仕事はどのように誕生したのか?

――NHKの歴史ドラマの場合、史料や史実を厳格に忠実に再現することを重視するのかと思っていましたが、作風やキャラクターに合わせて、あえて変える部分もあるんですね。

そうですね。そもそも「平清盛」の頃の時代は“失われた50年”とも言われるくらい、史料的には暗黒の時代なんです。なぜかというと、その直後に鎌倉幕府ができたことで、その前の平家の政権の文献などで消されてしまったものが多いからです。逆に言うと、ある程度の決まり事や様式を守りつつ、自由を利かせることもできました。とはいえ、歴史好きの方からしたら「ここはおかしいんじゃないか?」という攻撃材料にもなりかねないので、難しい部分はありました。ただ「平清盛」の扮装や美術に関しては、放送開始当初から坂東玉三郎さんが非常に好意的なコメントを寄せてくださったんですよね。あれは本当にありがたかったし、すごく大きなよりどころになりました。


視聴率面に関して、プロデューサーサイドや局サイドとして一喜一憂する部分はあったかと思いますが、クリエイティブの現場はそこにあまり左右されず、美術や扮装の部分でも「良いものを作っている」という自負を持っていましたし、全体的に非常に士気の高い素晴らしい現場でしたね。

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