「アニメ映画の国」日本の確立と「発見された濱口竜介」がもたらすもの
そして、上映スクリーンの縛りが戻ってからも、ディズニーが明らかにプロモーションの比重を劇場作品よりもディズニープラスの普及に偏らせていたことだ。国内アニメーション作品においては作品のステークホルダーでもある特定のテレビ局と一丸になって宣伝が繰り広げられ、ディズニー作品に関しては作品が公開されていることさえ周知されていない、といった環境の中で、このような結果となったのは必然だろう。
2020年の国内年間興収トップ10に入ったのは『TENET テネット』1作品だけ。2021年の国内年間興収でトップ10に入ったのは『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』1作品だけ。もしこのような状況がこれからも続くようだったら、これまでの外国映画の配給や宣伝のシステムそのものが変わっていかざるをえないだろうというのが、映画業界で仕事をしている一人としての実感だ。
そんな中で、2021年を代表する日本映画として例外的な作品を二つ取り上げたい。一つは、東京テアトルとリトルモアという独立系の配給作品でありながら、興収38.1億円をあげて年間6位(実写作品では年間3位)となった『花束みたいな恋をした』だ。このところ出演作が安定してヒットし続けている菅田将暉の(有村架純とのダブル)