アカデミー賞総括! 時代を切り拓く女たちの美しき勝利
受賞スピーチでサンドラは、候補者ひとりひとりに言葉を掛け、最後のメリルには、1月の放送映画批評家協会賞で共に主演女優賞を獲得した際に、壇上でキスを交わしたことをネタに、「あなたはとってもキスが上手ね」と語りかけ会場を沸かせた。一方で世界中の母親たち、そして自身の母親への感謝を口にしホロリとさせる場面も。授賞式でも千両役者ぶりを見せ付けた。
そして、今年の授賞式で最も人々の心を震わせたスピーチと言えば、『プレシャス』で助演女優賞を受賞したモニーク。作品の関係者や偉大なる先人たちへの謝辞と共に、最愛の夫へも素直な感謝の気持ちを口にした。「時に、人気の出ることを取るのではなく、正しいことを選ばなくてはならない、と教えてくれました。(オスカー像を掲げ)その通りでした」と涙ながらに語る場面は今年のハイライトのひとつだった。
また、男優部門は獲るべき実力派がきっちりと獲得した、という印象。
カンヌ国際映画祭のときから「(主演の)ブラッド・ピットを喰った男」と絶賛されてきた『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツは授賞式の先陣を切ってオスカー像を獲得。昨年の助演女優賞を獲得した、同じく欧州出身のペネロペ・クルスからオスカー像を手渡され顔をほころばせた。