【シネマモード】人間とは、ないものねだりな生き物なのね。『17歳の肖像』
ロザムンドが演じているのは、年下のヒロインに、美しくなるためには何を着るべきか教え、自分の服も惜しみなく譲る寛容で優しい女性ですが、賢いゆえに人生や教育、親に決められた将来に疑問を抱くヒロインとは対照的に、自分で考えるということをせず、地味なオックスフォード大学の女学生を見て、「進学なんかしなければ、綺麗でいられる」と本気で口にする教養も知性も感じられない美女。女性を美しくするものは、教養でも知識欲でもなく、いい男と素敵な服だと信じ込んでいるような人です。本当ならば、こんな女性は輝くはずもないのですが、ロザムンドが演じることで、憎めない、チャーミングなおとぼけ女性になっているのです。大人の女性なのに、表情がどこか幼稚で可愛らしいのですが、これも知性があまりないせいかも。実生活でも男性に寄り添って生きることに疑問を持たず、何でも恋人の言いなり。若く、美しいときはいいけれど、本作のヒロインが、後にジャーナリストとなって、この映画の原作を書く人物になったと考えると、古い価値観(当時は当たり前の価値観?)を持った彼女が、どうなったかも気になるところ。これほどまでに、演じた人物の行く末が心配になるなんて、やっぱりロザムンドの演技がなかなかだったせい?彼女自身は、舞台経験もあって、実際にオックスフォード大学で英文学を専攻した才女。