『プレシャス』ガボレイ・シディベ 大物たちとの共演も「私の方が人気者よ(笑)」
16歳で2度目の妊娠、しかもお腹の子の父親は自分の父。実の母からは毒づかれ、学校ではいじめられる日々。誰が見てもプレシャスの人生はどん底だ。けれど彼女はそんな過酷な環境の中、自分の手で幸せを見つけようとする。ガボレイも「流れに身を任せた」とはいえ、女優としての一歩は彼女自身の手でつかみ取ったチャンスにほかならない。だが、大学で心理学を学びながら電話オペレーターの仕事をしていた彼女は「この役のための演技指導は一切受けていないの」と意外な事実を口にする。それでは、あの感情揺さぶる演技はどうやって生み出されたのだろう。
「大学の芝居にほんの少し出た経験はあるけれど、演技を学んだことはないの。
だから、プレシャスを演じることがどれほど大ごとなのか正直、理解していなかった。もちろん、この作品への出演が決まったときは興奮したわ。演技経験はなくても、いい脚本だと思ったし、プレシャスという役にシンパシーを感じることもできた。むしろ演技経験ゼロだったからこそ、彼女が誰であって、自分が誰であるのかをしっかり考えることができ、キャラクターに埋没しなかったのかもしれないわね」。続けて、プレシャスが胸にためていた想いを涙とともに吐き出すシーンや、母メアリーと緊張に満ちた喧嘩シーン、高い演技力が必要とされるシーンについて聞いてみた。