2023年4月27日 17:30
「観客の手を取って誘う」セーヌ川、船上の精神ケアを追う『アダマン号に乗って』監督インタビュー
本年度ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞・金熊賞に選ばれた『アダマン号に乗って』。本作で、パリ・セーヌ川に浮かぶ、精神疾患のある人々を無料で迎え入れる船上のデイケアセンター<アダマン>を追ったニコラ・フィリベール監督が、100時間におよぶ撮影映像を1本の映画にするまでを語った。
第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で俳優クリステン・スチュワートら審査員たちが最高賞・金熊賞を贈り、「人間的なものを映画的に、深いレベルで表現している」と賞賛された本作。手掛けたのは、世界的大ヒット作『ぼくの好きな先生』(02)で知られる、現代ドキュメンタリーの名匠ニコラ・フィリベール監督だ。
アダマン号の人々が寄り添い生活する時間を捉えた本作。ニコラ監督は、膨大な収録テープから、やがてベルリン映画祭金熊賞を受賞することになる1本の映画を作った。ニコラ監督に制作の背景や、フランスでの映画事情、また日本映画について伺った。
「ドキュメンタリーの分野ひとつを取っても、スタイルは多岐にわたる」
Q撮影期間は7か月間に及び、約100時間分も撮影されたそうですが、この場面は使う、使わないという最終的な選択を行なった、その判断基準は?
監督確かに撮影期間そのものは7か月でしたが、幸いなことに毎日撮影したわけではありません。