2023年4月27日 17:30
「観客の手を取って誘う」セーヌ川、船上の精神ケアを追う『アダマン号に乗って』監督インタビュー
100時間の収録映像というのは、それだけでかなりの量ですから。7か月間毎日撮影していたら300時間とか500時間の収録になっていたかもしれません。撮影しすぎても意味はありません。
そして質問の後半部分に答えるのは難しいですね、まず、撮影がうまくいったので他よりも使いたくなる場面がありました。その場面の中で語られていることが、他の場面より興味深かったということもあります。選別にはそういう理由もあります。
しかし、私にとって編集というのは、音楽とも言えるような作業です。音楽、というのは、そこに音楽があるというわけではないですよ、ただ、選別をして編集するという作業が私にとって、音楽に極めて近いという意味です。
速度が速くなったり、盛り上がったり、静まったり、こういう動作をしているだけでも、ちょっと、オーケストラの指揮をしているみたいでしょう。
編集というのは瞬間瞬間の連続で、そこに一定のリズムが生まれてくるんです。リズムはとても重要です。声のトーンも重要ですし、視線も重要です。環境、光、音響、音もとても大切です。編集はそういったものすべてです。ただ、ひとつのメッセージがあって、何かがそこで発表されて、観客が理解しなければいけないことがそこにあるというわけではありません。