2023年4月27日 17:30
「観客の手を取って誘う」セーヌ川、船上の精神ケアを追う『アダマン号に乗って』監督インタビュー
あと、日本の狂気について語っている映画、黒澤明監督の『どですかでん』や、溝口健二監督の『赤線地帯』が好きです。好きな日本映画のリストは長くなりますよ。
「演説がしたくて映画を撮るのではない。観客の手を取って彼らをアダマン号に誘う」
Q今後、撮影してみたいテーマは?
監督ありますが、まだ先の話なのに、そういうことを話すのは好きではないので、ここではお話しません。また、私は「テーマ」で映画を撮る、ということはあまりしません。私にとって大切なのは「テーマ」ではありません。
アダマン号も、精神医療についての映画ではありません。精神医療が背景の映画です。
このふたつは異なります。つまり、精神医療が行われている場で映画を撮りました。しかし、これについて、映画を撮ったのではありません。先ほども申し上げましたが、私は何か演説がしたくて映画を撮るのではない。確実なメッセージを伝えたくて、映画を撮るのではないんです。
私は、観客の手を取って、アダマン号に彼らを誘う。そこにはケアスタッフがいて、患者さんがいる。へえ、何がここで起きているんだろう?何かおもしろいことが起きているぞ、となるわけです。