2024年2月12日 13:00
映画『梟ーフクロウー』時代も国も超える超感覚スリラー…常闇に紛れる真実を見逃さないで
それに李氏朝鮮時代の王といえば、『王になった男』やそれこそ「赤い袖先」などのように、紅の韓服に黄金の龍の刺繍が施された衣がお馴染み。ところが、本作で世子の帰郷を迎えた仁祖は清の皇帝からその着衣を禁じられたため臣下と同じ紺色の衣を着ており、むしろ清の人質だった世子のほうが色鮮やかな衣を纏っている。
この違いだけでも、屈辱と劣等感、悔恨に苛まれた8年を過ごしてきた仁祖の闇がうかがえるというもの。過去に囚われ、新しい国づくりに踏み切れず、変化しなければならないタイミングで変わることのできなかった苦悩を抱えた王を、あのユ・ヘジンが演じるのだから見逃せない。
なお、同じ史実が登場する作品としては、本作も手がけたCJes Studioの製作ドラマで設定にひねりを加えた「魅惑の人」がNetflixで配信中。医療時代劇ドラマの傑作、チョ・スンウ主演の「馬医」(12)もソヒョン世子の死をきっかけに主人公たちの運命が狂わされていき、仁祖の側室ら女性たちを主人公にした「花たちの戦い~宮廷残酷史~」(13)や光海君の異母妹・貞明公主を主人公にした「華政(ファジョン)」(15)といったドラマも制作されている。